iPhoneはなぜFlashに対応していないのか?

iPhoneやiPadはFlashに非対応
今さらの話だが、iPhoneやiPod touch、iPadFlash対応していない。
この記事を書いている2013年現在でさえ対応していない。

Web業界の人ならこのことを不思議に思ったことはないと思うが、一般の人はどうもそのあたりを不思議に思う人もいるようなので、今回はそのあたりについて書いてみようと思う。

次世代規格HTML5の影響

ホームページやブログなどのWebページというものはHTMLやCSS、JavaScriptなどの言語でできている。

これらの言語は規格(バージョン)のようなものが存在し、次に主流となると言われているHTML5やCSS3というバージョンが現在すでに普及し始めている。

このHTML5やCSS3、そしてJavaScriptを使えばFlashという技術は必要が無くなるのだ。(多少極論)

FlashはSEOに非常に弱い

また、Flashには非常に大きなデメリットが存在する。

それは、クローラー(検索エンジンの巡回プログラム)などの機械によって内容を読み取ることができないという点である。
つまり、SEO(検索エンジン最適化)に弱い。

数年前まではトップページからすべてFlashで作られたド派手な演出のサイトを結構あちこちで見かけたものだが、最近はほとんど見かけることがなくなったのはそういう理由からである。

例えばWebページ内のタイトルや本文などをFlashで表示しているとしたら、それらの文章が検索サイトにヒットすることはない。

検索サイトから本来得られたであろうアクセスを逃すのだから、非常に大きな機会損失が生じてしまう。

また、機械によって内容を読み取ることができないということはSEOの面だけでなく、音声ブラウザで内容を読み取れないことや翻訳サービスを利用できないなど様々な面でデメリットが生じる。

Flashのこのような仕様がwww(World Wide Web)、つまりインターネットの本質から外れているため、HTML5やCSS3が普及し始めた現在いよいよ淘汰されそうになっているのである。

速かれ遅かれFlashは消える運命にあった

今まではHTMLやCSSなどの言語の進化がWebブラウザ上で動画や音声を視聴するという時代の需要に追いついていなかったことに加え、各ブラウザの対応(特にInternet Explorer)が遅れていたこともあり、Flashのような技術が使われてきたのだ。

AppleがiPhoneの仕様をFlash非対応にしたのは多少時期尚早な感じもあったが、仮にiPhoneがFlashに対応していたとしてもいずれFlashというものはインターネットから消えていく可能性が濃厚であったと個人的には思う。

ただ、そのiPhoneが世界中で爆発的にヒットしたために、Flashの寿命が本来よりも縮まったのは間違いないだろう。

Appleの商業的な理由

iPhoneやiPadなどがFlashに対応しない理由としてもう1つ考えられることとしては、FlashでできたゲームなどをWebサイト上に設置することでアプリの必要性がなくなり、App Store(Appleが運営するアプリのストア)の売り上げが下がる。という点であろう。

iPhoneやiPadなどで使うアプリをダウンロードする場合、基本的にはApp Storeからしかダウンロードできない。(脱獄した場合を除く)

iPhoneの最も優れている部分はそのデザインやハード性能ではなく、OSやApp Store、iTunes Storeなどで成り立っている生態系である。

というのは有名な偉人が言った名言でもなんでもなくただの私の個人的な見解であるが、事実AppleはApp StoreやiTunes Store(Appleが運営する音楽や動画のストア)のコンテンツ配信で非常に大きな利益を上げている。

Flashはこれを阻害する要因になり得るのでiPhoneなどに実装しなかったという面も少なからずあるに違いない。

そのおかげもあって、「iPhoneやiPadなどの端末が売れると連鎖式にコンテンツ配信でも儲かる」という構図が出来上がっている。

また、iPhone用のアプリを開発するにはMacのパソコンが必須であることに加え、デベロッパ(開発者)登録するのに年間8400円がかかる。
Apple社をピラミッドの頂点に置いた非常によくできた生態系である。

「1社で独占し過ぎなのではないか?」と思わないこともないが、実際にそれを計画して実現するのは容易ではない。

同じように自社コンテンツで儲けようとして迷走し続けている現在のドコモを見ればそれは明らかだろう。
最近ではスマホを使って野菜や健康器具を買えるようにするという計画もあるようで、企業の先行きがとても不透明だ。

話が逸れてしまったが、そのような理由からiPhoneやiPadなどはFlashに非対応なのである。

インターネットの本質から外れている技術

しかしiPhoneなどが対応するかどうかは関係なく、インターネットの正しい進化という面でFlashやMicrosoft Silverlightのような技術は今後さらに淘汰されていくのではないでしょうか。

World Wide Web(インターネット)を生み出したティム・バーナーズ・リーもきっとそれを望んでいるに違いない。

Webというものが今後も価値のあるものであり続けるよう、私もその思想を受け継いでいきたいと思っているのであります。
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