ブレない写真を撮るための方法

一眼レフのレンズ
先日、とある仕事の関係でお客さんの家に伺った際、

「カメラを買おうと思っているのですが、どれを買えばいいですか?」

という質問を突然受けた。
その仕事というのはカメラに全く関係のない業務であるにも関わらず、だ。

しかし私の前でカメラの話題を振ってくるとはなかなか見る目のあるお客さんである。
カメラやパソコン、スマートフォンあたりの話題を振られるとついついその場の業務を忘れて熱く語ってしまうのが悪い癖だ。
それまで通常のテンションで作業をしていた私が突如スーパーサイヤ人化する。
スーパーサイヤ人化
こうなってしまうと、そこらのヘタな店員より詳しい。
もはやただのオタクだと解釈してもらっても差し支えない。
なぜカメラを買おうと思っているのか? をそのお客さんに尋ねてみると、

「所有しているコンパクトデジカメでは子供(2歳)を撮る際にブレて写っていることが多いから」

という理由で一眼レフまたはミラーレス一眼の購入を検討しているらしい。
この場合の「ブレ」というのが手ブレ被写体ブレのどちらを意味しているのかはわからないが、ブレを防ぐ最善の方法明るいレンズを使うのが最も根本的な解決策である。

レンズの明るさとは?

カメラのレンズには「明るさ」という概念がある。
要するに、光がレンズを通過する際にどれだけの光量を通せるかということなのだが、これは「F値」という値でカタログなどに記載されている。

そしてカメラは撮影の際、レンズを通過する光の量を「絞り」と呼ばれる羽根で調整する。
カメラの絞り羽根
この画像の例で言うと、一番左の状態が最も光を多く通す「絞り開放」の状態である。
この絞り開放でのF値を「開放F値」と呼ぶ。
この開放F値の数値がより低いレンズを「明るいレンズ」と呼ぶのだ。

明るいレンズというのはイコール「光をより多く取り入れることができるレンズ」であるため、撮影の際のシャッタースピードをより速めることができる。

明るいレンズだとフラッシュが必要ない

例えばデジカメで室内で写真を撮ろうとすると自動的にフラッシュが起動したり手ブレ警告が表示されることがよくあるが、あれは光の量が足りなくて十分なシャッタースピードが稼げないからフラッシュによって光を足しているわけだ。

そしてもしそのデジカメのレンズが明るいレンズであったとしたら、フラッシュを使わなくても室内でブレない写真を撮影できたりすることになる。

廉価版レンズの開放F値

通常、何らかのカメラを購入した際にセットで付いてくるレンズは廉価版の万能レンズであるため、開放F値は2.8~3.5ぐらいが普通だろうと思われる。

例えば私のカメラに付属していたレンズは以下のように書かれている。
ニコンの18~55mmズームレンズ
これは焦点距離(ズームの範囲)が18mm~55mmであり、開放F値が3.5~5.6という意味である。
開放F値に範囲が存在するのはこれがズームレンズだからだ。

つまり焦点距離が18mmの時の開放F値が3.5で、焦点距離が55mmの時の開放F値が5.6ということである。

この例からもわかるように焦点距離(ズーム)は広角のほうがF値は低い数値、つまり光を多く通すことになる。
逆に望遠レンズというのは基本的にはF値が高くなり、それだけ早いシャッタースピードが出しにくくなる。

ちなみにズームのないレンズを「単焦点レンズ」と呼び、そのスペックは「35mm f/1.8」のように範囲が存在しないシンプルな表記になる。

単焦点レンズの最大のメリット

そしてこれが最も重要な点なのだが、単焦点レンズというものはズームレンズに比べて開放F値が低いのが普通だ。

ズームのないレンズなんて不便でしかないのになぜ存在しているのか?という疑問を持ったことのある人もいるかもしれないが、この疑問の1つの答えがこの「レンズの明るさ」という点である。

先ほどの単焦点レンズの例で挙げた1.8というF値は、ズームレンズでは到底実現不可能な明るさになる。
これほどの明るさのレンズであればズームレンズとはケタの違うシャッタースピードが出せるので、手ブレや被写体ブレの心配はほとんどなくなるだろう。

ただ残念なのは、明るい単焦点レンズは基本的に高価であり、カメラボディとセットでお値打ちに販売されていることがほぼないことである。
しかしそれでも購入する価値は十分にあると思うので、興味のある方は検討してみるといいかもしれない。

単焦点レンズのそれ以外のメリットについては日を改めて書くことにしよう。