スマートフォンの画面に向かう人たち

3週間ほど前、私用で名古屋の金山に行った。
酒を飲む必要性のある用事であったため、通常ならば名古屋だろうが岐阜だろうがすべて車で行く私もその日だけは電車を使って行った。

電車に乗ることなどざっと見積もっても5年以上ぶりであったのだが、電車に乗ってまず驚いたのは、ほとんどの人がスマートフォンをいじっている。ことであった。

私が電車に乗った時間は比較的空いている時間帯である上に普通電車であったため座席の半分ぐらいが空いていたのだが、私は「脚のトレーニング」という趣旨で出入り口付近で立って乗車していた。
なので、座っている人たちが何をして過ごしているのか見渡せたわけだ。

割合で言うと、10人中7~8人がスマートフォンもしくはフィーチャーフォン(ガラケー)をいじっている。
この私が言うのもなんだが、その光景は滑稽を通り越してもはや不気味である。(下の参考画像は私が撮影したものではありません)
電車の中でスマホをいじる光景

IT上級者は電車でトレーニングをする

私が電車に乗った時間は確かに外は真っ暗だった。
なので「外の景色を見ろ」とはさすがに言わないが、もうちょっと他の過ごし方はないのだろうか。と思う。

私にそんなことを言う資格はないのはもちろん重々承知している。
誰よりもパソコン携帯に向かい過ぎたせいで慢性的な運動不足に陥り、今では体を鍛える方向で生活をしているこの私にそのようなことを言う資格は当然ない。

つまり、座席に座ってスマートフォンをいじっている人たちよりも、空いている座席があるにも関わらず出入り口付近で突っ立っている男のほうがIT上級者なのだ。

ディスプレイに映し出されている世界

パソコンやスマートフォンのディスプレイ、つまり液晶パネルというものはピクセルと呼ばれる粒子が集まって映像を表示している。

例えば私のiPhone4であれば横は640、縦は960個の粒子(ピクセル)が集まって画面表示を行っている。
これを「ディスプレイの解像度」と呼ぶ。
iPhone5であれば横は640、縦は1136ピクセルだ。
最近のは知らないがガラケーであれば横240の縦400ぐらいじゃないだろうか。

つまり電車の中でスマホをいじり続けている人たちは、これらの数の粒子が発光することによって表示している人工的な世界を見続けていることになるわけだ。

これが40インチテレビや映画館のような大きなディスプレイであればまだカッコもつくような気もするが、せいぜい4インチ前後の小さなサイズに映し出される人工的な世界をそこにいるほとんどの人が見ていると思うと非常に気持ちが悪い光景である。

スマホで作業や情報収集をするのは効率が悪い

私は外でスマートフォンをいじるというのは無駄だと感じている。
これは今まで散々スマートフォンをいじり倒したからこそ言えることだが、スマートフォンで作業もしくは情報収集をするというのはとにかく効率が悪い。
もちろんそれはパソコンと比較して、という意味だ。

その理由は、パソコンに比べてスマートフォンは性能が圧倒的に低いうえに画面表示範囲が狭く、さらに3G通信の場合は通信速度が遅いことが挙げられる。

例えば意味のわからない専門用語があって調べる際でも、パソコンなら10秒もあれば調べられるものがスマートフォンで調べるとなるとその2倍以上は時間がかかったりする。
しかも深く調べる必要があるものほどその差は顕著になる。

なので私は外でスマートフォンをいじるのは基本的にはメールチェックもしくは予定の確認・追記のみである。
できることなら通信料定額制もやめたいぐらいだ。(携帯ショップに問い合わせたらダメだと言われたが)

これを読んでいるあなたも想像してほしい。
背中を丸め、うつむきがちにスマートフォンの小さな画面を見続けている人間の姿を。
冷静かつ客観的に見て、決して美しいものではないだろう。

今日この記事を読んだあなたは非常にラッキーだ。
その事実に気付けたのだから。

明日から電車に乗った際には背筋を伸ばし、顔を上方に向け、口を半開きにしてよだれを垂らしながら眠ると良いだろう。