背景をボカして写真を撮る方法

背景をボカした写真
カメラで写真を撮る際、背景がボケているだけでなんとなくいい写真のように見えることがある。
背景をボカすことでメインの被写体(撮影対象)が浮き上がるため、そのように感じるのかもしれない。
そのような背景をボカした写真はどのようにして撮るか。
これを今回は簡単に解説してみよう。

被写界深度とは?

写真を撮る際、ピントが合っている距離というのは本来はとある距離1点である。
しかし実際に撮影した写真を見ると、その前後ある程度の距離もピントが合っているのが普通だ。
これを被写界深度(ひしゃかいしんど)と呼ぶ。
ピントが合っている範囲が前後に広いと、「被写界深度が深い」という。
逆に、ピントが合っている範囲が前後に狭いと、「被写界深度が浅い」という。

つまり「背景をボカしたい」ということは「被写界深度が浅くなる条件を満たせば良い」と言い換えることができる。

被写界深度と焦点距離(ズームの度合い)の関係

被写界深度とレンズの焦点距離(ズームの度合い)は以下の原則がある。

  • 広角側であるほど、被写界深度は深い。
  • 逆に、望遠側であるほど、被写界深度は浅い。

つまり背景をボカすためには、なるべく望遠レンズで撮影するほうがボカしやすい。ということになる。

被写界深度と被写体への距離の関係

そして、被写体への距離と被写界深度にも原則がある。

  • 被写体から遠いほど、被写界深度は深い。
  • 逆に、被写体から近いほど、被写界深度は浅い。

背景をボカすためには

上記のような原則があるため、背景をボカすためには、

  1. 1、なるべく望遠レンズ(望遠ズーム側)で、
  2. 2、なるべく被写体に近づいて撮影する。

というのが最も簡単に手っ取り早く背景をボカす手段である。
それ以外にも「絞り」によってボケ方が多少変わるが、前掲の要素に比べると影響は少ないので今回は説明を省略します。

撮像素子(センサー)のサイズが小さいとボケにくい

しかし、カメラに搭載されている撮像素子(センサー、昔のカメラでいうとフィルムに該当する部分)が小さいと、この「ボケ」という表現ができにくい、という欠点がある。
撮像素子のサイズはカメラのカタログには必ず記載されているが、一般的にコンパクトデジカメと呼ばれる小さなカメラは撮像素子のサイズが非常に小さい。
だからボケにくい。

これが一眼レフになると、撮像素子のサイズが結構大きいものになるので、比較的簡単にボケの表現ができる。
というか、ボカす気がなくてもある程度勝手にボケる。
中でも特に高価な一眼レフになると「フルサイズ」と呼ばれるものがあり、昔のカメラのフィルムと同じ大きさの撮像素子を搭載している。
なので当然、ボケの表現もできるし、なにより撮像素子のサイズが大きいということは、写りが綺麗になる。

iPhone5sが発表された際にAppleが「今度のiPhoneのカメラは解像度は前モデルと変わらないが、センサーを大きくした」とアピールしていたのはこのことである。

最近流行りのミラーレス一眼はどれぐらいのサイズの撮像素子を搭載しているのか私は知らないが、普通に考えてコンパクトデジカメと同じということは考えにくいだろう。
まぁ比較的安い一眼レフ並みの大きさのサイズを搭載しているんじゃないだろうか。(興味がないので調べていない)

というわけで、写真でボケの表現をしたいと思ったのなら、その時がコンパクトデジカメや携帯のカメラから卒業する時なのではないでしょうか。