すごい漢(おとこ):ライアンについての考察

今日は私が昔から愛してやまない「すごい漢(おとこ)」を紹介しよう。
彼だ。(これより以下の画像はSQUARE ENIXから引用しています)
ライアン

この有名な彼を知らないという不届きな方のために説明しておくと、名前は「ライアン」といい、ドラゴンクエスト4に出演するキャラクターである。
職業は王宮戦士。
年齢はどうも調べたところによると30~40歳。
独身である。

ドラクエの世界における「戦士」という職業柄、呪文は全く使えない上に素早さも低いが、腕力が非常に強い。
この細身の肉体からは想像もできないほどの腕力でモンスターをなぎ倒していく剛腕おじさんである。

リメイク版ドラクエ4では、装備できる人が限られるほどの重装備である「破壊の鉄球」を装備してモンスターを一掃する様は、爆力魔波でキングキャッスル周辺を跡形もなく消し飛ばしたピッコロ大魔王を彷彿とさせるものさえある。

パーティ内でのライアンの存在

ドラクエ4の物語では主人公軍団は8名以上になる。
そのうち、モンスターと戦うスタメンは4人だ。
残りのベンチ入りメンバーは馬車の中で待機することになる。

ライアンの高い能力から考えれば当然彼はスタメン入りするのが自然なのだが、悲しいかなドラクエ4の世界にはアイツがいる。
アリーナ姫
そう、姫(アリーナ)だ。
アリーナは「武闘家」タイプのキャラクターであり「女版の悟空」とさえ呼ばれ、武闘家特有の軽装備で高い攻撃力を誇るキャラクターである。
特にアリーナは会心の一撃の率が非常に高く、キラーピアスという2回攻撃の武器を装備しての攻撃はもはや鬼神と呼んでも過言ではない。

戦士であるライアンと違って素早さも高いため、戦闘開始直後に会心の一撃を2回連続で出してモンスターを2体始末することも日常茶飯事である。
コイツがいるせいで一般的にはライアンはベンチ入りになってしまうらしい。(私はスタメンに入れていたが)

ライアンのすごさ

しかし、彼の最もすごいところはそんなことではスポイルされない。
なんといっても彼は、

ドラクエ史上、初めてモンスターを仲間にした人。

である。

「モンスターを味方にする」というのは現在のドラクエではごくごく見慣れた光景だが、ドラクエ4の時代はそうではない。
そんなヤツは前代未聞である。
しかし彼はそれを軽くやってのける。
しかも彼自身は特別なことをやったという自覚すらない。
「シビれるだろ? あこがれるだろ?」とか間違っても言わない。
そう、彼は異端なのだ。

異端な漢(おとこ)・ライアン

彼の勤務先であるバトランド城には彼の同僚にあたる王宮戦士が数多くいる。(1章エンディングでたくさん見れる)
しかし、全身ピンク色の鎧を装備しているのは彼だけである。
それはまるで女装趣味のおじさんのようだ。
きっと勤務先である城内では浮いた存在だったのは間違いないだろう。

ドラクエ4の物語の冒頭で「隣町で子供が何人も行方不明になっている件の調査」という任務をライアンは王様から受けることになる。
これは体(てい)のいい「左遷」である。

~ ある日のバトランド城の休憩室 ~
王宮戦士A 「なんか隣の村で子供が何人も行方不明になってるんだってよ」
王宮戦士B 「そうなの? じゃあこの城から誰かが調査に行かされるのかな」
王宮戦士A 「指名されたら最悪だよな~。任務が終わって城に帰ってきても居場所ないぞ」

~ 数日後 ~
王宮戦士A 「隣町の調査、ライアンが行くことになったんだって」
王宮戦士B 「やっぱりな」

みたいな会話があったことは想像に難くない。
組織というものは規律によって成り立っている。
その規律を守れず、和を乱すヤツは窓際に追いやられるのは当然の結果である。(彼の場合は出向扱い)
そんな異端な彼だからこそ、それまで誰も考えたこともない行為、すなわち「モンスターを仲間にする」ということを成し遂げることができるのだ。

そんなことをしたら、もしかしたら後ろから刺されるかもしれない。
夜、寝てる時に首を絞められるかもしれない。
食事に毒を盛られるかもしれない。

それなのに彼はどこの馬の骨かもわからない初対面のモンスターを仲間にする。
彼が仲間にしたモンスターはホイミスライムだったため、剛腕おじさんであるライアンをねじ伏せるほどの力はない。
しかし、不意打ちとなれば話は別だ。
屈強な戦士でも不意打ちを喰らえば簡単に気を失うこともあるだろう。
毒を盛られたらそれ以前の問題である。
でも、仲間にしちゃう。
彼は先駆者だ。
まさにすごい漢だと言えよう。

「こっちへ おいでよ…。」とか「そっちじゃ ないよ。」と言われるがままにのこのことおびき寄せられてしまう純粋な彼が、いつか美人局に引っかかったりしないように祈るばかりである。(前述のとおり彼は独身)