交通事故の慰謝料金額を上げることは可能か?

高速道路
愛知県は交通事故が全国ナンバー1ということで有名である。
なんか毎年ナンバー1になっているような気がしないでもないが、とても不名誉な事実であることは間違いないだろう。

私の住んでいる岡崎市というのは隣町がトヨタ自動車で有名な豊田市であることもあり各家庭の自動車の平均保有台数が多く、非常に交通事故が多い街である。

交通事故の交渉は非常に面倒

交通事故というのは誰でも一度ぐらいは経験しているものだと思うが、私などは過去に何度ももらい事故を経験しその面倒臭さを身を持って体験しているため、今でも非常に怯えている。

前述のように私が経験したのはほとんどが相手からのもらい事故であるため、基本的には相手側の保険を使うことによって示談を成立させているが、それでもやはり交通事故の示談交渉というのは非常に面倒臭くて、できることなら二度と経験したくないのが本音である。

まず過失相殺の交渉からすでに面倒臭い。
だいたいの人は相手の保険会社から言われるがままに過失割合を決定し納得してしまうが、あれは加算要素や減算要素などを主張することにより多少変動させることができる。
この過失割合の決定は今後の損害賠償請求額に大きく関わってくるため非常に重要だ。

それが終わると今度は損害賠償金額、中でも特に慰謝料の交渉が非常に面倒である。
慰謝料というのは車の修理費などと違い金額がはっきり定められていないので、その交渉において相手の保険会社と揉めたことのある人も多いだろう。

任意保険会社が提示する金額は安い

任意保険会社の提示してくる慰謝料金額は不当に安い金額である。
これはまず間違いない。
嘘だと思うのならば裁判になった場合の慰謝料金額の相場を調べてみるとわかる。

裁判所で交通事故の損害賠償訴訟の判決が出る際に適用される慰謝料の金額というのはほとんどがもう定型化しており、それを一般に「裁判所基準」(弁護士基準とも言う)と言う。
裁判所が認めているのだから、これは言わば「法律によって認められた金額」と言っても過言ではない。

それに対して、任意保険会社が自社内で適用する慰謝料の金額は「保険会社基準」などと呼ばれる。
この保険会社基準というのが、裁判所基準に比べ金額が非常に安いのだ。

任意保険会社というのは一般の人がそのあたりに無知であることを逆手に取り、その不当に安い金額をまるで当然の金額であるかのように提示してくる。
それが私の神経を非常に逆撫でするため、私は保険会社に対してはすぐに臨戦態勢に入ることになる。
例えばその際に、

「これ以上は金額は上がりませんか?」

と聞いたとしても、

「これ以上は無理です。」

と保険会社はほぼ100%答える。
これは私自身が過去に何社かを相手に聞いたことがあるので、このような返答が来るのは間違いないと言っていいだろう。
しかし、そんなわけない。

金額を上げるためには時間や手間をかける覚悟が必要

結論から言ってしまえば、保険会社の提示してくる慰謝料金額は必ず上げることができる。
私は過去、任意保険会社が提示してきた慰謝料の金額が60万円程度であったことに腹を立てて弁護士の人に間に入ってもらい、それを90万円程度まで上げて示談成立させたこともある。
仲介に入った弁護士の方は、

「裁判にしたとしてもこの金額までは上がらないかもしれないですね」

と言っていた。

ただこれだけの金額上昇を実現するためには、交通事故の損害賠償に関してそれなりの量の勉強が必要になるし、交渉をうまく進めるため自分の主張を理論的に相手に説明できるだけのスキルが最低限必要になる。
また最悪の場合裁判になることも想定し、法律(特に民法)の知識もある程度必要になる。

それに加え、必要書類を作成したり、必要な機関へ電話したり、時には電車に乗って遠い街まで行く用事をこなさなければならなかったりする。
先程、60万円の提示額を90万円にまで上げたという話をしたが、それだって事故から2年もの期間にわたって保険会社と戦い続けた結果である。

これらをすべて乗り越える覚悟がある方は、自分の納得できる金額まで慰謝料を上げることができるだろう。
しかしおそらく、たいていの方はそれほどの覚悟はない。
そういう人はおとなしく任意保険会社が提示してきた金額で諦めるべきだと私は思う。

ちなみに、乗り越えるだけの覚悟や力の源になるのはその事故の相手に対する「怒り」だ。

きさまの提示額をやぶったのは怒り。執念にまさるおれの怒りだ!